棒針を楽しむみなさん、ほかの人の編み方と自分の編み方が違うと思ったことはありませんか?
私は編物本のイラストを見て編み方を覚えたので、糸の持ち方、針の持ち方、針先の動かし方、テンションのかけ方まで、本当に正解?と思いながらずっと編んでいました。
そして他の人の編み方を目にする機会があった時、糸の方向が違う!?と驚いたものでした。
さて、最初に結論から申し上げますと、目的の編目になっていれば編み方に正解・不正解はありません。
ただ、編み方の違いで出る編目の違いを理解することで、編目の美しさやテンションのコントロールなど、ちょっとした、でも出来上がりを左右するような違いに気づくはずです。
この記事では「スタイル」と「メソッド」に分けて、棒針編みの編み方のお話をしていきたいと思います。
スタイルって?-フランス式とアメリカ式-
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、冒頭私が目撃した「糸の方向が違う!?」は、フランス式とアメリカ式の違いでした。
私はフランス式でしたが、なんと母はアメリカ式で編んでいたのです。気が付いたのは編物歴5年以上経ってからでした。母から習っていたら、私はアメリカ式で編んでいたかもしれないですね。
このフランス式とアメリカ式の違いは、糸をどちらの手で持つかです。
解説の編み方動画はたくさんあるので、一度見てみるとわかりやすいかと思います。
フランス式(コンチネンタルスタイル)の特徴
以下は、クロバーさんの出している編み方動画です。
- 左手に糸をかける
- 一般的な編物動画やイラストはフランス式が多いので、独学の方は理解しやすい
- 単調な編地であるほど比較的早く編める
- きついorゆるいを調整しやすい
- ★きついorゆるいが安定しない時がある
アメリカ式(イングリッシュスタイル)の特徴
こちらもクロバーさんの出している編み方動画から。
- 右手に糸をかける
- 目がそろいやすい
- フェアアイルなど編み込み模様やアラン模様などの交差編みとの相性がいい
- 糸をかけて引き抜くときの針の動作がわかりやすい
- ★単調な編地ほど糸をかける動作がひと手間
フランス式とアメリカ式の使い分け
これは編む「スタイル」なので、どちらが良い悪いということはもちろんありません。
それぞれの特徴を生かして、どちらも使い分けられると編物の幅が広がります。
私は編み込み模様が一番苦手なのですが、編み込み模様でフランス式とアメリカ式のハイブリッドで編む方法はとても参考になります。
↓Betibettinさんの動画です。
違うスタイルで編んでみた感想
フランス式の私がアメリカ式を試してみた感想は、「糸のかけ方が難しい!」ということ。
母はかけ糸をつかんで針先にかけていましたが、調べると右手の人差し指に糸をかけたまま、フランス式と同じようにかけ糸を持つ人差し指の動きでうまく棒に糸をかけると、かなり編むスピートがアップするようです。
私はそれができずに母と同じく、かけ糸をつかんで針先にかけてみましたが、そのためか編地はフランス式で編むよりややゆるやかでふんわりとした印象になりました。
テンションの張り方でまた変わってくるようですね。
メソッドとは?-ウェスタン・イースタン・コンビネーション-
メソッドとは、目に入れた針先に糸をどうやって絡ませて目をくぐらせるか、そのパターンになります。
まだ棒針編みに慣れていない方は、針にかかる目の向きがバラバラになってしまったり、なぜかねじり目になってしまったり、教えてくれる方と違う目の向きになってしまったことはありませんか?
それはメソッドの違いのために起こります。
すでに編み方が身についている方はあまり気にしたことがないかもしれませんが、しかし、この「メソッドには違いがある」ことを理解することが、編物をきれいに仕上げるちょっとしたコツにもつながるのです。
ウェスタンメソッド
●かけ糸の動作
表目:糸を針の下から手前にひっかける(反時計回り)
裏目:糸を針の手前から奥にかぶせる(反時計回り)

●編み上がりの目の向き
表目:左足が後ろ-右足が前
裏目:左足が後ろ-右足が前

イースタンメソッド
●かけ糸の動作
表目:糸を針の上から手前にかぶせる(時計回り)
裏目:糸を針の下から手前にひっかける(時計回り)

●編み上がりの目の向き
表目:左足が前-右足が後ろ
裏目:左足が前-右足が後ろ

コンビネーションメソッド
●かけ糸の動作
表目:糸を針の下から手前にひっかける(反時計回り)
裏目:糸を針の下から手前にひっかける(時計回り)

●編み上がりの目の向き
表目:左足が後ろ-右足が前
裏目:左足が前-右足が後ろ

メソッドを使い分けると
メソッドのポイントは、「かけ糸のかけ方で編み上がりの目の足が右前になるか左前になるかが決まる」ということです。
(注意:どのメソッドでも、針を刺すときは表目裏目とも右足側から針先を入れるので、針を入れる位置は変わりません。)
このかけ糸の方向を使い分けることで、リブ編みの表目と裏目の境目の目の乱れや、かけ目の表目前と裏目前の大きさの違いを解消することができます。
他にも使い分けると便利な場面はあるかと思いますが、こちらのお話は、また別記事でできたらと思います。
違うメソッドで編んでみた感想
私はウェスタンメソッドなのですが、イースタンとコンビネーションでも、試しにメリヤス編みを編んでみました。
まず編地の感想は、ウェスタンよりもイースタンやコンビネーションのほうが目がゆるやかになりました。
編地の触り心地も、ウェスタンよりもふっくらとした印象です。
コンビネーションよりもイースタンのほうがより厚みを感じたので、おそらくイースタンの動きが糸を張りすぎないのかもしれません。
そして、編み心地の感想は、「裏目を編むときは断然イースタン!」でした。今更手になじんだウェスタンを手放そうかと思うほど、メリヤス編みの裏目ではかけ目をするときの手首や指先の動きが最小限に抑えられ、すいすいと編めました。
表目はウェスタンの馴染みに軍配が上がりましたので、もしかするとコンビネーションが私には合っているかもしれないですね。でも表地に返したとき、右足が後ろにあるのがいまいち馴染めないところではあります。
編み方のこと さいごに
みなさんはどのスタイル・メソッドに当てはまりましたか?
なんだか教本や動画と違うから間違っているかも…と思っていた方も、ひとまず安心したのではないでしょうか?
日本ではフランス式ウェスタンメソッドで教わることが多いかと思います。
でも、世界にはいろんな編み方のスタイルがあります。
ここで紹介したスタイルやメソッドに当てはまらなくても、ほかの人や教本とは違っても、その人だけの大切な「編み方」です。
スタイル・メソッドを理解して、自分に合った「編み方」の模索、そして自分のスタイルを見つける手助けになれば幸いです。
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